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インプラント治療前に知っておきたい
失敗を招く全身的リスクファクター5つ

インプラント治療前に知っておきたい失敗を招く全身的リスクファクター5つ
安全性の高いインプラント治療を行い、術後の経過も良好なものにするためには、リスクファクターを減らすことが大切です。リスクファクターとは危険因子ともいい、治療の失敗リスクを高めてしまいます。今回は全身的リスクファクターの代表的な5つをご紹介します。
リスク

糖尿病

糖尿病が起こしうるリスクとして、通常よりも傷の治りが遅い、細菌感染しやすいというものがあります。さらに、高血糖やインスリン不足の状態が続くと、インプラントと骨の結合が上手くいかないことがあり、再治療や治療期間の延長などのデメリットがあります。

糖尿病の方がインプラント治療を受けるためには、HbA1c7.0%を目標に血糖値をコントロールしていただきます。あらかじめ担当医に相談していただき、術前~術後の管理を徹底して行うことが大切です。また、低血糖発作が起きにくい食後の時間帯に手術を行う、生体モニターによる管理下での手術など、当院では安全性を考え治療環境を整えています。

リスク

喫煙

タバコに含まれるニコチンが、インプラント治療に大きな影響を与えます。ニコチンが血管を収縮させることで、術後の傷を治すために必要な栄養や酸素が運ばれないことから、傷の治りが悪くなり、細菌感染のリスクが高まります。さらに、タバコから発生する一酸化炭素は酸素よりもヘモグロビンと結びつきやすいために、いっそう血液中の酸素量が減ってしまいます。

インプラント治療を受ける際には、喫煙のリスクをご説明し、術前から術後まで一定期間の禁煙していただきます。完全に手術の傷が治った後でも、インプラント周囲炎の発症や症状の悪化を招く恐れがあるため、禁煙の継続をおすすめしています。

リスク

高血圧症

高血圧症は降圧剤を服用していても、手術のストレスから血圧が上がることがあります。そうなると、術中・術後の出血が止まらなくなってしまうことも。さらに、高血圧症の原因である動脈硬化が進行し、脳や血管などに合併症を引き起こす可能性があります。

高血圧症の方がインプラント治療を安全に受けるには、まずは内科で血圧を安定させることと、どのような些細な体のサインも見逃さないために生体モニターでの管理が欠かせません。また、血圧の上昇を防ぐ方法として、部分麻酔と併せてウトウトと半分眠ったような状態になれる静脈内鎮静法の併用があります。

リスク

貧血

貧血とは、血液中のヘモグロビンの量が少なくなった状態のことを指します。血液中、細胞内に含まれる酸素が少ないため、手術による傷の治癒が遅くなるうえ、インプラントと骨との結合も妨げられてしまいます。また、免疫細胞に酸素がじゅうぶんに供給されないために免疫力が低下し、インプラント周囲炎の発症リスクが高まります。

内科の先生に相談をして、改善を図ることが大切です。食事や錠剤などで鉄分を補給すると、数週間でヘモグロビンの量は増えていきますので、インプラント治療を行う数週間~数ヶ月前から貧血治療を始めていただくケースがあります。

リスク

骨粗しょう症

骨粗しょう症は骨質や骨量が低下しているため、インプラントと骨の初期固定が得られないリスクがあります。また、骨粗しょう症治療で使われるビスフォスフォネート系薬剤はインプラント手術の禁忌であるため、服用している方は必ず事前に医師にご相談ください。担当医と相談のうえ治療を進めていく必要があります。

骨粗しょう症の方だからといってインプラント治療が受けられない訳ではありません。骨結合のための治癒期間を長く取ったり、顎骨を溶かす恐れのあるインプラント周囲炎にならないためのケアを行ったりします。

全身的リスクファクターがあっても
インプラント治療を受けられる場合があります
全身的リスクファクターをお持ちの方は、健康な方と比べると治療のリスクが高いです。しかし、事前に歯科医師に相談していただければ、患者様のかかりつけ医と協力しながら、リスクを抑えた安全に配慮した治療を行うことも可能です。