結論から申し上げると、インプラント治療を終えた後も歯科での定期検診に通う必要はあります。インプラントは人工物なので、インプラントそのものが虫歯になることはありませんが、もしも長い期間、定期検診を受けなけれ、インプラントを埋め込んだ周辺の歯肉が歯周病になってしまうリスクがあります。
さらに、歯周病が進行してしまい、インプラントを支えている顎の骨が溶けてしまうと、インプラント体が外れてしまう場合もあるため注意が必要です。
天然歯には、歯根膜という上下の歯を噛み合わせたときの力を緩和させるクッションが存在しますが、インプラントには歯根膜がないため、噛む力による負荷がダイレクトにかかってしまいます。インプラント周辺の歯肉に負荷をかけ続けてしまうと、炎症を引き起こし、インプラントの歯周病インプラント周囲炎を引き起こす恐れがあります。
また、インプラントを埋入した周囲の歯肉に歯垢がたまり、細菌が増殖することでもインプラント周囲炎は起こります。
インプラント周囲炎は、天然歯の歯周病よりも進行速度が10〜20倍速いともいわれている上に、痛みなどの自覚症状がないまま進行するケースが多いので、目安としては3ヶ月に1度程度、歯科医師に診てもらうことをおすすめします。
歯科の定期検診に通うメリットは、インプラント周囲炎のリスクを軽減するだけでなく、咬み合わせもチェックできます。咬む力が強い方ですと、インプラントの被せ物(上部構造)が、食事などの際、徐々にすり減ってしまい、顎の咬み合わせが悪くなってしまうこともあります。
そのような場合は、上部構造を新しいものに交換することで咬み合わせを改善することができます。
また、インプラント以外の歯も同時にメンテナンスできることもメリットです。インプラントも含めた全ての歯をプロに診てもらうことで、天然の歯の寿命を延ばすことに繋がります。
インプラントも天然歯も、歯は毎日使うものなので、咬み合わせによる負荷や、細菌から歯や歯茎を守るために継続的なメンテナンスは必要です。もしもメンテナンスを怠ってしまうと、せっかく費用や時間を費やしたインプラントを再治療することになりかねません。定期検診に通うことはもちろん、ご自宅での歯磨きの際はフロスや歯間ブラシを使用して極力磨き残しがないよう徹底しましょう。