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 インプラントコラム
知っていただきたいインプラントの話

インプラントと差し歯は何が違う?

ポイントは歯根が残っているか否か

患者様から「インプラントと差し歯の違いって何?」と質問をいただくことがあります。

インプラントも差し歯も、歯を生体材料で補填する治療なので混同されている方は少なくありませんが、この2つには明確な違いがあります。

それは「歯の根っこが残っているかどうか」という点です。歯の根っこ(歯根)が残っていれば差し歯、残っていなければインプラントという理解でよろしいかと思います。

差し歯の見た目や素材について

差し歯とは、残った歯根の内部にコアと呼ばれる土台を立て、被せ物を取り付ける治療です。差し歯の治療は保険適用が可能なものもありますが、素材や見た目を選択したい場合は自由診療による治療となります。

保険適用の差し歯は「必要最低限の治療」が前提となるため、見た目や長期予後を考えた治療として、素材や治療法を選ぶことができません。ですから、「天然の歯に近い見た目」や「再発リスクの低い治療」を望まれる場合などは自由診療を選択頂く必要があります。ただし、自由診療は保険による一部負担がないため、保険診療と比べると高額になってしまいます。

保険適用 保険適用外
土台(コア) メタルコア(金属の土台) ファイバーコア(ガラス繊維強化樹脂)、
ゴールドコア(金)等
被せ物(クラウン) 硬質レジン(強化プラスチック)、
銀歯(金銀パラジウム合金)
オールセラミック(陶器)、ジルコニアセラミック(人工ダイヤ)、金歯等

歯根が残せるなら差し歯に

差し歯は歯根に土台を立てるため(感染を防ぐためでもあります)、歯根にある歯髄(歯の神経)を取り除いてしまいます。そのため、歯への栄養が供給できなくなり、枯れ木のように歯の質自体が脆くなってしまい、歯の寿命が短くなると言われています。

それでも、だからといって「抜いてインプラント」とはなりません。インプラントは見た目や機能性としては天然の歯に近いものがありますが、天然の歯のようなたわみや歯根膜という歯と骨の間のクッションの役割を果たすものがないため、咀嚼するときの感覚は天然歯とは異なります。

ですから、歯科医師は虫歯が進行して神経を取る処置が必要になっても、まずはその歯を残すことを考えます。差し歯であっても、しっかり治療し、メインテナンスを継続することで長期使用することも可能ですし、患者様の選択によっては見た目も美しいものを選ぶことも可能です。

歯根が残っていてもインプラント治療は可能?

基本的にインプラント治療は歯根が無い場合に行いますが、もし歯根が残っている場合であっても、むし歯が大きく進行している状態で保存ができないと歯科医師が判断した場合、抜歯をすることでインプラント治療を行うことが可能です。ただし、前述した通り、大前提は残せる場合は残すということです。

インプラント治療は天然歯に近い噛み心地が取り戻せる素晴らしい治療ですが、天然歯に勝るものはありません。天然歯は一度失ってしまうと二度と再生することはありません。

そのため、保存可能な歯根が残っているのであれば差し歯が適していると思われます。インプラントにするのは、その差し歯が破折した場合、再感染した場合など、やむを得ず抜歯となった場合の最終手段となります。

できる限り歯を残すことを考えましょう

我々歯科医師が行う治療は、一つの目的として「歯を残す」という考え方があります。例えば、虫歯が進行しても神経を取ってまで歯根を残すのもそうですし、インプラントをご提案するのも、周りの歯に悪い影響を与えない・健康な状態で残すことも目的の一つです

くどいようですが天然歯に勝る歯はありません。「インプラントがあるから」と考えるのではなく、まずは自分の歯を守ることを考えましょう。歯が痛い・違和感を感じる場合は、早めに治療にお越し下さい。

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