できますか?
タバコのなかには70種以上の有害物質が含まれており、中でも特に「一酸化炭素」「ニコチン」「タール」はタバコ三大有害物質と呼ばれています。喫煙による体への影響は大きく、インプラントに与える代表的な例を挙げるだけでも4つあります。
一酸化炭素による酸欠
酸素は血液中のヘモグロビンと結合して、体中に運ばれていきます。しかし、タバコによって発生する一酸化炭素は酸素以上にヘモグロビンと結合しやすいため、喫煙することで、体に巡るはずの酸素供給量が減ってしまい酸欠のような状態になりがちです。
ニコチンによる血管収縮
マウスピース矯正装置は透明なプラスチックで作られているため、目立ちにくく、装着していても周囲の人に矯正していることが気づかれにくいです。
また、習い事や部活の発表会などの特別なイベントがある場合は、マウスピースを取り外して参加することも可能です。イベントが終わり次第、すぐに再度装着すれば治療計画にも影響ありません。
ニコチンによる
白血球の活動阻害
体内に侵入した細菌を排除する役割を持つのが「白血球」です。ニコチンは白血球の働きを邪魔し、免疫力を低下させてしまいます。インプラントは天然歯よりも細菌感染に弱いという特徴があるため、白血球が万全に活動できない状態は治療の失敗リスクを高めます。
タールによる歯周病リスク
タバコを吸うと、中に含まれているタールがお口の中に付着します。タール(ヤニ)は歯や歯茎に着色汚れを発生させるだけでなく、歯の表面をザラつかせて歯周病菌などの細菌が付着しやすい環境に変化させることから、インプラント周囲炎が発症しやすくなってしまいます。
ニコチンによる
唾液の分泌抑制
唾液は粘膜の保護や修復、抗菌などの役割を持っており、お口の中だけでなく全身の健康を維持するにはその働きが欠かせません。しかし、タバコに含まれるニコチンはその唾液の分泌量を抑えてしまい、唾液の自浄作用や抗菌作用が低下すると口腔内細菌が活発になってしまいます。
タバコを吸う方と吸わない方では、インプラント治療における失敗リスクが大きく異なります。日本歯周病学会による論文で、上顎におけるインプラント治療では喫煙者は非喫煙者と比べて約2倍の失敗、または合併症が起こることが報告されています。
インプラントと骨の
結合を阻害する
インプラントが持つ天然歯のような噛み心地は、チタン製のインプラント体が骨と結合することで実現します。しかし、ニコチンによって骨の代謝を妨げられるとうまく結合が得られず、治療計画よりも安静期間を長く取らなくてはならなくなります。最悪、定着できずに脱落してしまうこともあります。
インプラント
周囲炎になりやすい
インプラント手術を受けた後、注意をしなくてはならないのが「インプラント周囲炎」です。これは歯周病菌に感染することで発症し、インプラントを支える歯を溶かしてしまう恐ろしい病気です。タバコを吸っていると、歯の表面に細菌が付着しやすく、また免疫力の低下から感染・進行しやすい状態にあります。
傷の治りが遅い
インプラント手術によって傷ついた歯茎を修復するには、じゅうぶんな酸素と栄養素が必要です。しかし、ニコチンの血管収縮作用で血流が悪化し、さらに一酸化炭素によって供給される酸素が減ると傷の治りが遅くなります。
歯茎は歯槽骨などの内側に細菌を侵入させないガード機能の役割も担っているため、傷が治らないと細菌感染のリスクを高めます。
骨造成がうまくいかない
安全なインプラント治療のために、埋入部分の骨を増やす骨造成術を行うことがあります。足りない分の骨のもととなる素材を入れて縫合しますが、喫煙の有害物質によって栄養・酸素不足が起こると、骨造成が失敗してしまう可能性が高くなります。